大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和28(あ)5642 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人山川常一の上告趣意第一、二点は違憲をいうけれども、その実質は単なる

訴訟法違反の主張を出でないものであり、同第三点は事実誤認の主張であつて、い

ずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。なお、所論の第一審における弁護人の

証拠調の請求は、第一審第六回公判調書の記載によれば、「尚証人、参考人の捜査

時に於ける供述に変化があるので、その変化により供述の真実性について立証する

ために、検察官保管にかかる参考人の検察事務官、司法警察員、司法巡査に対する

供述調書の全部を、検察官の同意を得て提出し、証拠調を請求する」というのであ

り、これに対し検察官は右提出に同意しないと答え、裁判所はその採否の決定を留

保したことが認められる。仮に所論のように右請求中の検察事務官とあるのは検察

官事務取扱検察事務官の意味であるとしても、右各供述調書が刑訴三〇〇条にいう

検察官が必ず取調を請求しなければならない諸要件を備えた書面に当るものである

ことは、請求自体からは明らかにされていないところであるのみならず、右請求は

検察官の同意を得ることを条件としているにかかわらず、検察官の同意を得られな

かつたものであり、また弁護人は第一審において右請求の採否の決定留保のまま結

審されても何ら異議を述べた形跡も認められないのであるから、裁判所が右証拠調

の請求につき決定をしなかつたことをもつて訴訟法違反とするに足りない旨判示し

た原決定の判断は、結局において相当であるといわなければならない。その他記録

を調べても本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和三〇年一〇月四日

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最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 本 村 善 太 郎

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 垂 水 克 己

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